はだかの王子さま
……みにくい、の?
クビを傾げるわたしに、彼は、ささやく。
「君は、僕が、怖くないの?」
ロウソクの明かりなんて、今では、ほとんど見ることも無い。
普段使っている蛍光灯に比べて、大分暗く。
獣がまとった毛皮の色さえ、良く判らなかったけれども。
わたしは、彼を醜いとも、怖いとも思わなかった。
ただ、彼が酷く悲しげに見えたのは、きっと。
その外見を気にしてだと思ったから。
そんなの、何でもないじゃないって励ました。
「わたしは、その、ふさふさしっぽや、毛皮がとても、ステキだと思うけど?」
「……そう?
ありがとう。
だけど、この姿では、フェアリーランドから、一歩も出られないだろう?」
確かに。
夢と魔法の国で。
いろんなぬいぐるみと、お化粧をしているひとがいっぱいいるここなら、目立たないけど。
外に出たら、大騒ぎだってことは、わたしにだって判った。
楽しい遊具とおいしいお菓子のいっぱいある、フェアリーランドにずっと、住めるなら。
それは、楽しそうだと思ったけれど……
こんな暗い場所で、一人きりは、やっぱり嫌だ、と思う。