はだかの王子さま
 


『……セイラムド・フォン・ゼギアスフェル……』



「なぁに? 真衣。僕を呼んだ?」


 ふぁ~~あ。


 なんて、のんびりしたあくび混じりの声に、目を開けば。

 世界は、朝で。

 目の前には、金色に輝く毛皮があった。

「あ、あれ?
 わたし、いつの間に眠っちゃったんだっけ?」

 どうやら、わたし。

 今まで眠っていて、星羅と初めて出会った時の夢を見ていたみたいだった。


 昨日。

 学校帰りに、星羅とファミレスで、会っている時に。

 一日の仕事を終えたお父さんに見つかって、それから。

 星羅は、なし崩しに、ウチに来ることになった……所までは、覚えてる。

 けれども。

 それから、は?

 わたしが、お風呂に入っている隙に。

 星羅と、お父さんが、お酒の飲み比べをはじめたらしい。

 それを隣でジュースを飲みながら見ているうちに、わたし、途中で眠っちゃったみたいだ。

 二人のうちどっちが勝ったのかも、判らない……は、良いとして。

 もっと、判らなくて、マズいのは……


「な……なんで、星羅が、わたしのベッドに乗って、寝てるのよ!」


 ……ってこと!

 
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