はだかの王子さま
そんな、戸惑うわたしに、美有希が笑う。
「莫迦ね。
名前なんて、どっちでもいいのよ!
あたしは、あたし、なんだから!
真衣も……そんな格好しているけれど真衣、なんでしょう?
外見は、どんな風に変わったって、結局薄皮一枚だけのこと。
あたしもね。
『美有希』である自分と『フルメタル・ローザ』の二つを使い分けようって思ったんだけど。
中身って……結局変わらないのよねぇ」
そんな風に言って、美有希はすまなそうに頭を下げた。
「あの……なんだか、色々……ごめん、ね?」
「美有希……」
「あたし、自分の『お父さま』って言われ育ったファングさまが、大嫌いだったの。
家では、お母さまが、家に帰ってこないファングさまを思って泣いてるし。
家の大切な行事さえ、あたしたちのことを完全無視して。
記念日のお祝いやパーティにだって、お誘いしても一度だって来やしなかったわ。
そんな風に、あたしを放っておいたファングさまと、その娘に仕返しをしてやるんだ、なんて思ってた」
そういって、美有希はため息をついた。
「フルメタル家の次期当主に選ばれてから、こっちの世界にも来られるようになってさ。
復讐のために『美有希』って名前で真衣に近づいたはずなのに……真衣と一緒にいることが、すっごく楽しくなっちゃって、さ。
これじゃダメよって、最初の目的を思い出して、フェアリーランドの扉が開く時期に合わせて計画を実行したんだけれど。
真衣を傷つけて、お家を壊して、彼氏さん、さらって行っちゃって。
フルメタル家の財産も、お仕事も全~~部自分のものにして。
『フルメタル・ローザ』としては、上々の結果のはずだったのに。
ぜんぜん、面白くも楽しくも無いのよね。
あたし、本当に、ナニやってるんだろって思っちゃった」
「……美有希」
「特に、ファングさまがあたしのコトを『娘だ』って認めてくださって。
はじめて、自分がただ、寂しくって癇癪(かんしゃく)をおこしてるだけの、ただのコドモだって気がついたわ」
「莫迦ね。
名前なんて、どっちでもいいのよ!
あたしは、あたし、なんだから!
真衣も……そんな格好しているけれど真衣、なんでしょう?
外見は、どんな風に変わったって、結局薄皮一枚だけのこと。
あたしもね。
『美有希』である自分と『フルメタル・ローザ』の二つを使い分けようって思ったんだけど。
中身って……結局変わらないのよねぇ」
そんな風に言って、美有希はすまなそうに頭を下げた。
「あの……なんだか、色々……ごめん、ね?」
「美有希……」
「あたし、自分の『お父さま』って言われ育ったファングさまが、大嫌いだったの。
家では、お母さまが、家に帰ってこないファングさまを思って泣いてるし。
家の大切な行事さえ、あたしたちのことを完全無視して。
記念日のお祝いやパーティにだって、お誘いしても一度だって来やしなかったわ。
そんな風に、あたしを放っておいたファングさまと、その娘に仕返しをしてやるんだ、なんて思ってた」
そういって、美有希はため息をついた。
「フルメタル家の次期当主に選ばれてから、こっちの世界にも来られるようになってさ。
復讐のために『美有希』って名前で真衣に近づいたはずなのに……真衣と一緒にいることが、すっごく楽しくなっちゃって、さ。
これじゃダメよって、最初の目的を思い出して、フェアリーランドの扉が開く時期に合わせて計画を実行したんだけれど。
真衣を傷つけて、お家を壊して、彼氏さん、さらって行っちゃって。
フルメタル家の財産も、お仕事も全~~部自分のものにして。
『フルメタル・ローザ』としては、上々の結果のはずだったのに。
ぜんぜん、面白くも楽しくも無いのよね。
あたし、本当に、ナニやってるんだろって思っちゃった」
「……美有希」
「特に、ファングさまがあたしのコトを『娘だ』って認めてくださって。
はじめて、自分がただ、寂しくって癇癪(かんしゃく)をおこしてるだけの、ただのコドモだって気がついたわ」