はだかの王子さま
「排除……って……何!?」

 聞き慣れない……って言うか。

 わたしが知っている意味だったら怖い、美有希の発言に聞き返せば。

 美有希は、フルメタル・ローザの顔をして笑った。

「もちろん。
 あんなに使えない王さまなんて!
 捕まえてこっちの世界の牢屋につないでおくか……面倒なら、殺してしまえば、良いのよ?」

「そんな……!
 いくらなんでも!乱暴な!」

 美有希の意見に驚けば、当の美有希は、キレイに笑う。

「今の王さまって、人望無いし。
 他のヒトが変わったって誰も、気にしないと思うの」

「でも、美有希……!」

「ん、もう!
 真衣の顔立ちは、先代王家と繋がっている上。
 彼氏のゼギアスフェルさまは、現在の王朝の第一王位継承者なんでしょう?
 現王を排除すれば、真衣とゼギアスフェルさまのどっちかが、次の王さまになってもおかしくないわね?」

 そうじゃないと、この先ずっと。

 王さまが真衣をあきらめない限り、王さまの影におびえて暮らすことになるよ、なんて美有希は、言った。

「しかも、それ。
 真衣が直接手を下さなくても、ちゃんと頼めばゼギアスフェルさまが、やってくださるんじゃないかしら?
 現王は、ゼギアスフェルさまの『腹違いのお兄さま』よね。
 血が半分しかつながってなく、しかもあまり仲がよろしくない方だとお聞きしているけど、たった一人のお身内だってだけで、現王の命令を聞き、前王を燃やしてしまっのだもの。
 愛しい真衣のためならば、たとえ相手が王さまだって、あと一人ぐらい……」

「美有希! やめて!」

 美有希のことは、好きだけど!

 そんな考え方なんて、絶対、イヤ!

 星羅が、どんなキモチで地下迷宮にいたのか。

 ヒトになれない、獣の姿でたった一人、暗闇をさまよっていたのか。

 美有希は、知らない。

 知らないのよ……っ!

 わたしは、どきどきと速くなりだした心臓を抑えて、ちぎれるように言った。

「もう絶対、星羅はヒトを傷つけちゃいけないし、そんなことわたしが絶対させないわ!」
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