はだかの王子さま
『王とソドニさまが来ます。
ローザさまは、真衣を連れてお早く……!』
「王とソドニの二人は、今、どこを歩いているの?」
賢介の姿は、見えず。
美有希は、空っぽの場所でお化けと会話してるように見えたけど!?
賢介の声だから良かったものの。
そうじゃなかったら、悲鳴の一つくらい上げているかもしれない。
一方、美有希は、賢介の報告に難しい顔をして眉をひそめて言った。
「そこに居るなら、動けない真衣を連れて出るのは、無理よね……真衣、またすぐ来るから。
何か、少しでも食べて、待っているのよ?」
「う……うん」
わたしが頷いたのを見て、美有希も頷くと、彼女は足早にふわふわと花が降るの方に歩いて行った。
「美有希……!
そっちは、扉じゃないわよ……!?」
驚くわたしに美有希は、にこっと笑って、バルコニーに出た。
「いいのよ、大丈夫。
あたし一人なら、こっちの方が早いわ」
そう美有希が言った途端だった。
ひゅっ。
そんな軽い音がして、美有希が飛んだ!?
ううん、違う。
賢介が、さらって行ったんだ。
多分、白薔薇宮殿の屋根の上。
旗を立てるポールか何かに、蜘蛛の糸を引っ掛けた賢介が、スーパーヒーローみたいにすっ飛んで来たんだ。
そして美有希を片腕に抱きかかえる寸前、賢介は、わたしにちらっと手を振って挨拶すると。
次の糸を、隣の塔に引っ掛け、振り子のように飛び出して、そのまま。
わたしが見てる、視界範囲から、消えた……
そんな、あっという間の出来事を呆然と眺めること、きっかり三秒。
わたしは、はっと我に返った。
星羅に、会わなくちゃ!
わたし、なんとしてでも、星羅に会わなくちゃいけなかった。
本当の両親について、星羅の口から真実を聞きたかったし。
何よりも、星羅に新しい罪を負わせるワケには行かなかった。
ローザさまは、真衣を連れてお早く……!』
「王とソドニの二人は、今、どこを歩いているの?」
賢介の姿は、見えず。
美有希は、空っぽの場所でお化けと会話してるように見えたけど!?
賢介の声だから良かったものの。
そうじゃなかったら、悲鳴の一つくらい上げているかもしれない。
一方、美有希は、賢介の報告に難しい顔をして眉をひそめて言った。
「そこに居るなら、動けない真衣を連れて出るのは、無理よね……真衣、またすぐ来るから。
何か、少しでも食べて、待っているのよ?」
「う……うん」
わたしが頷いたのを見て、美有希も頷くと、彼女は足早にふわふわと花が降るの方に歩いて行った。
「美有希……!
そっちは、扉じゃないわよ……!?」
驚くわたしに美有希は、にこっと笑って、バルコニーに出た。
「いいのよ、大丈夫。
あたし一人なら、こっちの方が早いわ」
そう美有希が言った途端だった。
ひゅっ。
そんな軽い音がして、美有希が飛んだ!?
ううん、違う。
賢介が、さらって行ったんだ。
多分、白薔薇宮殿の屋根の上。
旗を立てるポールか何かに、蜘蛛の糸を引っ掛けた賢介が、スーパーヒーローみたいにすっ飛んで来たんだ。
そして美有希を片腕に抱きかかえる寸前、賢介は、わたしにちらっと手を振って挨拶すると。
次の糸を、隣の塔に引っ掛け、振り子のように飛び出して、そのまま。
わたしが見てる、視界範囲から、消えた……
そんな、あっという間の出来事を呆然と眺めること、きっかり三秒。
わたしは、はっと我に返った。
星羅に、会わなくちゃ!
わたし、なんとしてでも、星羅に会わなくちゃいけなかった。
本当の両親について、星羅の口から真実を聞きたかったし。
何よりも、星羅に新しい罪を負わせるワケには行かなかった。