はだかの王子さま
「ん~~?
 内藤からゲストルーム借りたけど。
 眠る真衣を部屋に連れ来て、寝顔見てるうちに、僕もここで寝ちゃったみたい~~」

 金色の毛皮のかたまりは、ごそごそって動くと、動物園でみた、狼と変わらない姿で。

 誰がどう見ても、まるっきり、狼な顔をこちらに向けた。

 彼は、獣のくせに、ちょっと寝ぼけた顔のまま、大あくびをすると。

 そのまま。

 ぺろっとわたしの頬をなめた。

「ひゃん!
 も、朝から何やってるのよ!」

 がばっと起き上がったわたしに、星羅が、琥珀色の目を細めて笑った。

「いや~~
 眠っている時も僕のことを考えてくれるなんて、嬉しいな、って」

 ぱちん☆

 とつむった狼の片目がキレイなウィンクになった。

「でも、僕。
 セイラムド・フォン・ゼギアスフェル、より。
 真衣につけてもらった『星羅』の方が好きだな」

 星羅の口調は、弾むようで、今日もご機嫌だ。

「だって『羅』の字って、薄い網って言うか、布って意味じゃないか。
 真衣の『衣』とおそろいな感じが良いよね?」




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