はだかの王子さま
「ええ~~っとそれは……」

 星羅……セイラっていうのは、別に。

 わざわざ、わたしが、考えたんじゃないのよね。

 ちゃんと話した方がいいのかな?

 そう思って口を開きかければ。

 狼の姿で横になり、ベッドに長々と寝転んでいた星羅の尻尾をぐぃ、と踏んづけたヒトが、いた。

「セイラってのは、真衣が貴様の名前を覚えきれなかった上、呼びにくかったから『自然と』ついた名前だ。
 しかも、漢字は。
 人間の姿を手に入れて、日本名が必要になって、自分が勝手に決めたんだと思ったが?」

 星羅と対照的に、超~~不機嫌そうな声を出したのは……

 やっぱり、お父さん。

 パジャマにしている蒼いスェットに、薄水色のシンプルなエプロン。

 それに、手にはお味噌汁用のお玉を持って、ぱしぱしと弄んでいる。

 どうやら、朝ごはんが出来たので、わたしを起こしに来てくれたみたいだ。

「ど~~して内藤君は、毎日毎日、そう怒った顔をしているかな?」

 告げられた名前についての事実も、まったく気にせず。

 ふふふって笑う星羅に、お父さんは険悪そうな目を向けた。

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