はだかの王子さま
「僕はずっと獣だったし、色恋には、今ひとつ疎いのだけど。
ビッグワールドでは、処女であることにこだわる男が多い。
そして、貴族以上の間では、特に。
血統を守るため、一度子どもを宿した女性は、その相手の男が死ぬまでパートナーを変えてはいけない習慣があり、法律にもなっている」
だから……と言いながら。
星羅は、一瞬、話すのをためらい、言った。
「今回は月と星の巡りの関係上。
一度フェアリーランドの扉が閉じるとヒトの出入りできる異世界への扉は、来年まで無いと聞いている。
だから、フェアリーランドの大扉が閉まる前に、何とか。
現王をビッグワールドに返し、僕と真衣が、こちらに残る形で、異界の壁に隔てられ。
現王の干渉を受けにくい、一年の間に……その。
……僕の子どもが出産されているか……もしくは、宿っているだけでも、現王はきっと真衣をあきらめる、と思う」
「……う……ん」
……それ……王さまも、似たようなこと、言ってたなぁ……
このプランは、きっと『確実』なんだ。
だから、誰と一緒にどこの世界にいるかで、わたしの人生も大きく変わるってことなんだ。
そして、もう一つ確実なのは。
今すぐ、を含めた、これから一年以内に、必ず。
星羅か、王さまのどちらかと初体験をするって言うこと……!
……しかも、妊娠するつもりで、最後まで……!
「……怖い?」
……え?
どうやら、わたし。
会話をしてる最中にしては、だいぶ黙ったまま、らしい。
星羅に聞かれて、わたしは慌ててぶんぶんと首を振った。
「ううん! 星羅だったらいい。
星羅なら怖くない……頑張る」
なんて。
別に普通の声で言ったつもりだったんだけども。
どうやら、首の振り方が、一生懸命すぎたみたいだ。
それを見かねたように、星羅がすまなそうに声を出す。
「……ごめんね、真衣。
本当なら、こんなこと。
そうやって『頑張る』ことじゃないよね」
いくら二人が一緒に暮らすため、とはいえ。
純粋な愛の行為を『道具』に使うのなんて、本当は、嫌なんだけど、と星羅は、目を伏せた。
……でも、星羅も、わたしもわかってた。
他に手段なんて、無いことが。
ビッグワールドでは、処女であることにこだわる男が多い。
そして、貴族以上の間では、特に。
血統を守るため、一度子どもを宿した女性は、その相手の男が死ぬまでパートナーを変えてはいけない習慣があり、法律にもなっている」
だから……と言いながら。
星羅は、一瞬、話すのをためらい、言った。
「今回は月と星の巡りの関係上。
一度フェアリーランドの扉が閉じるとヒトの出入りできる異世界への扉は、来年まで無いと聞いている。
だから、フェアリーランドの大扉が閉まる前に、何とか。
現王をビッグワールドに返し、僕と真衣が、こちらに残る形で、異界の壁に隔てられ。
現王の干渉を受けにくい、一年の間に……その。
……僕の子どもが出産されているか……もしくは、宿っているだけでも、現王はきっと真衣をあきらめる、と思う」
「……う……ん」
……それ……王さまも、似たようなこと、言ってたなぁ……
このプランは、きっと『確実』なんだ。
だから、誰と一緒にどこの世界にいるかで、わたしの人生も大きく変わるってことなんだ。
そして、もう一つ確実なのは。
今すぐ、を含めた、これから一年以内に、必ず。
星羅か、王さまのどちらかと初体験をするって言うこと……!
……しかも、妊娠するつもりで、最後まで……!
「……怖い?」
……え?
どうやら、わたし。
会話をしてる最中にしては、だいぶ黙ったまま、らしい。
星羅に聞かれて、わたしは慌ててぶんぶんと首を振った。
「ううん! 星羅だったらいい。
星羅なら怖くない……頑張る」
なんて。
別に普通の声で言ったつもりだったんだけども。
どうやら、首の振り方が、一生懸命すぎたみたいだ。
それを見かねたように、星羅がすまなそうに声を出す。
「……ごめんね、真衣。
本当なら、こんなこと。
そうやって『頑張る』ことじゃないよね」
いくら二人が一緒に暮らすため、とはいえ。
純粋な愛の行為を『道具』に使うのなんて、本当は、嫌なんだけど、と星羅は、目を伏せた。
……でも、星羅も、わたしもわかってた。
他に手段なんて、無いことが。