はだかの王子さま
 けれども、星羅は、慌てず騒がす、静かに言った。

『はい、終わっております。王よ』

『ならば、ここに長居などせず、さっさと部屋を辞(じ)せ!
 気の利かぬヤツよのう』

 そんな、王さまの嫌味たっぷりな言葉に、星羅は一礼して、テーブルの上の採寸道具を片付け始めちゃったけど!

 わたし、前の姿とぜんぜん違うよ?

 骨格からして、同じ生きモノ? って自分でも謎に思うくらいに!!

 大丈夫なの!?

「星……」

 心配になって声をかけたら、それをさえぎるように、星羅は言った。

「大丈夫。
 新しい真衣の姿をいっぱい抱きしめたから、サイズはもう、覚えた」

 え?

 耳元に届く、かなり大きな日本語に驚いて、星羅を見れば。

 星羅は、口を引き結び、黙って淡々と片づけをしている……ように見える。

 そういえば、ハンドもこんな風に、いきなり耳元で聞こえるようにしゃべったことがあったっけ。

 ……これも、一種の魔法……なのかな?

 どうやら、すぐ近くに居る王さまには、聞こえないらしい。

 その声は、わたしに向かって優しく響く。

「王の誕生日プレゼントは、ウェディングドレスだけど。
 僕からは、ロング丈のキャミソールを贈るよ。
 後で届けさせるから、ドレスの下にそれを着て、待ってて。
 真衣がどこに居ても、僕はきっとさらいに行くからね」

















 

 

 

 
< 348 / 440 >

この作品をシェア

pagetop