はだかの王子さま
真夜中のパレード
ワルプルギスのよ~~る~~!
王さま万歳!!
王さまのヴェリネルラ万歳!!!
誕生日、万歳!!!
次の日。
フェアリーランドの従業員たちは、皆。
ヒトの姿をしているヒトも、獣も、朝から浮き足だっていた。
今夜は、ビッグワールドとこっちの世界が通じる最大の扉が開くんだ。
それに、加えて。
今年は、わたしの誕生日の宴、とかで。
キングダムリゾートの非番のヒトビトは、こぞって宴会モード突入中だ。
どうやら裏では、豪華な食事とお酒が振舞われているみたい。
お父さんがやらかした、今年のフェアリーランドのテーマ、3Dプラス1の宣伝のおかげかどうか。
どっかの報道機関の取材だの、警察の見回りだののヘリコプターが、ぐるぐる飛び回っていたけれど。
穏やかに晴れた、春の行楽シーズンだっていうせいもあり。
フェアリーランドにやってくる一般のお客さんも多く、パーク内はいつもにまして、騒がしく。
ランドの住人たちは、行きかうたびに『ワルプルギスのよ~~る~~』なんて挨拶して踊りまわるのだから、とんでもない騒ぎになっていた。
そ……そりゃあ、ね。
わがまま王に許されて、自分の生まれた国、ビッグワールドに帰れるヒトは、うれしいでしょうよ。
こっちの世界に残るヒトと、故郷に帰れるヒトで別れ別れになったとしても、もともとは同じ世界なんだし。
来年になったら、また帰るチャンスがめぐってくるんだもん、ね。
……じゃあ、わたしは……?
本当は、今日、この日。
星羅に『誕生日おめでとう』って言ってもらうために、星羅はお父さんに入れ替わってもらったはずなのに。
昨日の採寸から、今まで星羅は、部屋にやって来なかった。
それが、とても恨めしい。
ビッグワールドへ行くまでのその間。
わたしは居室って言うことになっている、白薔薇宮殿てっぺんに押し込まれ。
ゲストルームにかけられた、白いウェディングドレスでさえも、メイドさんが届けてくれたんだ。
でもさすが、星羅が作ったドレスだよね。
まったく型紙さえも無い、一から、凄く短時間で作られた、なんて思えない。
見事なできばえは、ため息モノだった。