はだかの王子さま
 ほとんどが、普通の人間サイズらしい集団だったけれど。

 中には大きさが、三階立てのマンションぐらいから、普通の人間の半分ぐらいまでの明らかに人間じゃないモノたちが混ざっているらしい。

 そして。

 次の『点灯!』っていう号令を受けて、更に小さいサイズの生き物が、手に手に持ったランプを。あるいは、自分自身を輝かせて、空を舞った。

 それが、閉園時間をとっくに過ぎた、一般のお客さんのいない、真夜中のフェアリーランド中を照らし。

 わたしにも、このパレードの全部を見ることができたんだ。



 ガギャアウォォォオン……!!


 フェアリーランドのすぐ外。

 人工島キングダム・リゾート内のホテルには、一般のお客さんが泊まっているはずなのに、全く気にしないのか。

 パレードの先頭を務める竜のソドニが、吼えた。

 本性である黒い巨体に、いくつも光を放つ羽虫や妖精を着けて、滑るように道を歩く。

 その後を、翼の生えた馬、本物のペガサスに乗った、ものものしい武装騎士団が、隊列を組んで行進し。

 それから、上半身が人間で、下半身が馬の……これは、なんていう生き物だっけ?

 そう、ケンタウロスとか言った、神話の生き物が、角笛を吹きながら、続いてゆく。

 更に後から、わたしの誕生日の贈り物、なのか。

 それとも、王さまが、自分のためのお土産なのか、良くわからない。

 真紅のスポーツカーや、モーターボート。

 ヘリコプターや、果ては、小型の戦車まで!

 飾りをつけた台車に乗せて、静々と、運ばれてゆくのが見えた。

 他にも、沢山の『王に許された異形のヒト』とか。

 様々な音楽を奏でる楽団や、ダンサーたちが散々続き。

 バレードの最後の方だった、わたしたちの乗るユニコーンの馬車が出る頃には、だいぶ時間のかかったくらいだ。

『……なんか、凄い……』

 思わずつぶやいた、わたしの声を耳聡く聞きつけて、王さまは、上機嫌で笑った。
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