はだかの王子さま
だって!
こーーーんなでっかい異世界への入り口が。
メインストリートの、ド真ん中をでんっと占領してたら、目立つこと、目立つこと。
ここは、日本最大級、大人気のアミューズメントパークなんだもの。
放っておいたら、ゴールデンウィーク中には、一日10万人は来るお客さまのうち。
少なくとも1万人は、行方不明になりかねない。
……こ、怖すぎる。
『……でも、今年は開園するんでしょう?
一体、どうするつもりなの!?』
自分が絶体絶命なのをすっかり忘れ。
思わず、叫んだわたしに、王さまは、にやり、と笑った。
『そもそも、この状態を作ったのは、そなたの『父』と言い張っている、フルメタル・ファングなのだが?』
『う……』
『昨日、魔剣0と一緒に地下牢を逃亡して以来、依然見つかっておらぬ』
『ううんと……ごめんなさい!』
な、なんだかいたたまれない。
ぺこり、と頭を下げたら、王さまは、眉毛を跳ね上げた。
『なんだ、そなたが、代わりに謝るのか?』
『う……あの、その。えっと……はい』
わたしは何も、してないし!
本当は、ちっとも悪くない!
はず。
けれども、思わず謝ってしまったのは。
やっぱり『フルメタル・ファング』を『お父さん』だと思っているからだ。
何だか、いろんなコトを一度に聞いて混乱気味だけど。
今まで、ずーーっと一緒に暮らしてた。
わたしにとっていつも優しかったお父さん……『内藤鋼牙』を急に憎んだり嫌いになんて、なれない。
だから。
わたしから見ても明らかに『マズイことをやらかした』挙句。
この場から『逃走中』のお父さんのことについて謝るのは当然……かな?
本当は、王さま相手に、こんなコトいうと。
『じゃあ、代わりに……』って何か無茶なことを要されそうで怖かったけれど。
王さまは、意外に屈託無く笑って見せただけだった。
『そなたは、外見だけでなく、中身もかわいいのぅ』
『……へ?』