はだかの王子さま
 
 ヴェリネルラの味を知っている、ってことは、お父さんも食べたことあるんだろうな。

 そして、星羅は、超贅沢品のワインや、ジャムまで食べているみたいだ。

 星羅については、お父さんから、フェアリーランドのコスチュームデザイナーとしか、教えてもらってない。

 お父さんも、星羅の足や尻尾を簡単に踏むし。

 顔を合わせば、不機嫌になるけど。

 ……本当は、知ってる。

 お父さんが、星羅に出すお酒は、ウチにある中で、一番良いヤツだってこと。

 そして。

 星羅と十年付き合って、たったの一回しか見たことないけど。

 彼が真剣な顔をして『命令』すると。

 お父さんも含めた、周りにいる人が誰も、彼の言葉に、逆らえないってこと。




 星羅が……ううん。

『世界を滅ぼす覇王の剣』なんて意味を持つ、セイラムド・フォン・ゼギアスフェルが。

 なんで、フェアリーランドの地下迷宮に、住んでいたのか。

 そもそも、星羅みたいに変身するヒトと。

 お父さんみたいに、変身しない。

 一応、普通の日本人って言うことになっているヒトが。

 半分ずつぐらい働いているアミューズメントパーク『フェアリーランド』が、本当は『ナニ』なのか。
 
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