はだかの王子さま
 カラダは、大事にしなくちゃね。

 って、真顔で言う星羅の隣で、わたしの顔は、本当に火を吹きそうに熱くなってた。


 うぁぁぁ……!


 それって!

 それって!!

 それって!!!

 恥ずかしくて、恥ずかしくて!

 思わず黙ってしまったら。

 星羅は、首を傾げた。

「……どうしたの?
 真衣?
 やっぱり君は、僕のモノになる気、変わったかな?」

 口調は、冗談めかしてるのに、実は真剣に心配しているみたいだ。

 置いてけぼりの子犬みたいに見えるのは、気のせいかしら?

 絶対別れたくないのなら、冗談でも『気が変わった?』なんてこと言っちゃダメなのに!

 まったく、もう!

 わたしは、心の中でため息をつくと、ぷう、と頬(ほほ)をふくらませた。

「そんなことを言う星羅は、意地悪よね。
 ……わたしの方から、キ……キっ……キスして?
 とか言わなくちゃダメ?」

 うわ~~

 セリフは、頑張って、言えたけれど、星羅の顔をまともに見られない!

 思わずうつむいたら、星羅はわたしの耳元でささやいた。

「良いの……?
 あんまり可愛いことを言ってると、本当にキスしちゃうよ?」

 うぁ……

 星羅の甘い言葉と吐息が、わたしの耳元をくすぐった。

 なんか、判らない所が、ぞわぞわする~~

「もう、知らないわよ!
 星羅のお莫迦!」

 まだ、朝になったばかりの午前八時少し前だったけれど。

「お休みなさい!」って布団に潜り込んだら、ぽふっと、頭からかぶった上掛け布団をめくられた。

「……布団の中になんて、逃げ込まさないよ、真衣?」

 遠くで、ラッパ隊のファンファーレが鳴り響く。

 どうやら、フェアリーランドが、開園したみたいだ。

 開園以来、初めての五月一日の無料開放だった。

 お客さんの量は確かに多いけれど。

 特に、混乱は、なさそうだった。

 しかも、王さまが、自分の取り巻きをビッグワールドに連れて行ってしまった以上。

 今、こっちの世界に残っているヒトのほとんどが、星羅の味方だ。

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