はだかの王子さま
 知りたいことは、山もりだったけど。

 薄々……よりも、かなり具体的に『変だ』とは思っても。

 お父さんは『誰にも秘密』ってきり、肝心なことは、話してくれない。

 ぜ~~ぶ『オトナになったら』話してくれるんだって、さ。

 わたし。

 家事とか、オトナらしいコトまっったく出来ないけど。

 ここまで子供扱いは、やだなぁ。


 お父さんは、なんとなく止めていたキャベツの千切りを作る手を再開しながら、ぽつり、と言った。

「ヴェリネルラの話は、桜路から聞いたのか?」

「う……うん。
 わたしのこと……その花みたい、だって……」

 うう。

 本当に、ヴェリネルラがどんなのかは、謎だけど。

 花に例えられるなんて、かなり、照れくさい。

 口の中で、もごもごと言うわたしに、父さんもぽつり、と言った。

「ヴェリネルラの花言葉は『我が身より愛しい』だ。
 ……良かったな、真衣。
 桜路は、莫迦で間の抜けた、どうしょうもないヤツだが……
 一本筋の通った、見どころのある大器だ。
 ヤツに心から愛されたのなら。
 桜路は今度こそ、何事からも、お前を守るだろう。
 しかし、一方で。
 波乱万丈な運命が、お前を待つかもしれないがな……」

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