はだかの王子さま
 ……だから。

 わたしたちの居るゲストルームに、他人(ヒト)が飛び込んで来る気配がない。

 王さまがビッグワールドでピンピンしている以上。

 本当に王さまから逃げ出す手段は、星羅と既成事実を作らない限り、多分諦めない。

 それを考えると、星羅にして貰える限り。

 キスも……Hも、妊娠でさえ『罪』でも『悪いこと』でもなかった。

 むしろ。

 星羅と少しでも長く居たいと思うなら。

 積極的にした方が、いいわけで……って。

 わたしが、ぐるぐる余計なコトを考えてるのとは反対に。

 星羅は、まるで、本能に導かれるままに、熱いまなざしでわたしを見て……ささやいた。

「愛してる。真衣」

 ……それは、大昔からの、単純で強力な、魔法の言葉。

 そんな星羅の言葉に、考えていたいろんなモノが全部吹き飛んで、星羅の顔だけが目に焼きついた。

 キレイなキレイな星羅の顔は、恋に焦がれた表情で、更に迫力を増し。

 星羅の熱さが、わたしにも移る。

 強い想いが、言葉になった。

「……わたしも、好き。愛してる、星羅……」

 ささやく声に、星羅は嬉しそうにほほ笑むと。

 星羅は、寝ているベッドに片膝をのせ、両手をわたしの顔の両側についた。

 やがて長い、金髪が、いく筋か、さらさらとこぼれて落ちて。

 花のように麗しい唇が、わたしの唇を静かにふさぐ。

 そして、そっと入って来た星羅の舌の甘い動きに、気持ち良く、しびれ。

 思わずあげそうになった声も。

 いつもより少し荒い、星羅の吐息にまぎれて、消えた。

「……星……羅……ぁ……」

「真衣……真衣」

 もう、なにも考えられず、お互いの名前を呼び合うしか、なくて。

 ただ、ただ、星羅の熱を自分の唇で感じてた。

 生まれて初めてのキスで。

 愛しいヒトの口づけがこんなに熱く。

 身もココロもとろけてしまいそうなほど、甘いものだって、初めて知った。
 


 
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