はだかの王子さま
楽しい計画も。
ちょっと色っぽい未来も。
とにもかくにも、体力をつけて、元気になっておかないと、何も出来ないよね。
まともに食べられないのなら、あとは眠るしか、なく。
今日中に、少しも回復しないのなら、明日は、まず、病院行きだから、ね?
って、星羅に宣言され。
わたしは、改めてベッドの上でパジャマを着て、布団に潜り込んだ。
それに続いて、金色狼も、わたしの隣にうつぶせで寝転がる。
「今日は、真夜中から、ずっと動きっぱなしで、疲れたよ。
まだまだやることがあるけれど。
無事に開園も出来たみたいだし。
真衣が眠るまで、僕も少し休ませてもらおうかなって」
「星羅?」
ベッドはキングサイズより大きいから、大きな狼になった星羅が一緒でも、余裕なんだけど。
ここの所、ずっと使ってるグラウェが、関係してるんじゃないか、って心配になって来た。
星羅本人は、なんでも無いことだって、くぁっ、と大きなあくびをしたんだけど、ね。
「大丈夫だよ。
ただ今日は、僕の誕生日だし。
少しぐらいなら、フェアリーランドのみんなから『貴重な時間』をプレゼントして貰っても良いよね」
って言いながら。
星羅は、ふふふっと笑うと、自分の手……っていうか。
前足に頭を乗せて楽な姿勢をとった。
そうよ!
すっかり忘れてたけれど、今日は、星羅の誕生日じゃない!
星羅の故郷、ビッグワールドの習慣では、誕生日当日に何かプレゼントをあげなくちゃいけないんだっけ……!?
毎年、この時期はお正月よりも忙しく。
連休のお休み中に、何か面白いモノを見つけて星羅にプレゼントしていたような気がする……けど。
今年は、何かする前に、この騒ぎに巻き込まれてしまったんだ。
「ど、どうしょう!
わたし、星羅の誕生日プレゼント……用意して無かった……」
思わず、布団の中でこっそりと呟けば。
星羅は、狼の耳をぴぴぴっと振った。
「ううん、今年はもうプレゼント、もらったよ。
僕が世界で一番欲しかったモノを」
「……え?」
まだ首をかしげているわたしの頬を狼星羅が、ぺろっとなめた。
「真衣の、処女(はじめて)」