はだかの王子さま
「お父さん……」

 それは、星羅が。

 世界を滅ぼす覇王の剣なんて。

 ……なんだかトンデモなく、強そうな剣の名前を持っているから?

 たぶん、聞いても応えてくれないその質問を、声にしようか、迷ったその時だった。

 後ろから、星羅の、驚いた声が聞こえた。

「げ!
 フルメタル・ファングが、魔剣『0(ゼロ)』でキャベツの千切り……刻んでる……」

 うぁ……!

 狼の時より大分澄んだその声に、星羅が、イケメン男子に変身したことが判る。

 ちらっと振り返って見れば。

 素肌に白いタオル地のガウンだけを羽織り。

 水の滴る髪をかき上げている。

 わたしと視線が一瞬合って、笑う。

 その姿が獣の時と違って目眩し過ぎるの。

 ガウンから見える、鎖骨が……

 すらりと長く、引き締まった足が……

 ちらっと見ただけで、顔が火照る。

 わたしは、くるっと星羅に背を向けると、ワザと別のことを考えた。

 そ~~でもしないとわたし、照れ過ぎできゅん死する!

 恥ずかし~~よ~~

 ひとしきりじたばたしながら、必死に考えた。


 え、えっと。

 星羅は、お父さんになんて言ったっけ?

 そうよ!



 ふるめたる・ふぁんぐ?


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