はだかの王子さま
 覇王を愛する人達を何人もまとめあげ。

 年々薄くなってゆくグラウェを逃がさず溜めておく世界、ビッグワールドを造ったんだ。


 ……これが、ビッグワールドの創世の真実……


 なるほど、これならば、まだ。

 たった二人であんなに広いビッグワールドを創った、って言われるよりも、納得がいく。

 覇王に惹かれた者たちは、覇王に少しでも気にいられるために、持てる力を全てを出し切り。

 覇王の楽園を創るために、死に物狂いで、働いたのだろう。

 だから、覇王は二つの世界の頂点に君臨し、同時に世界を滅ぼしかねない者でもあったんだ。

 そして、覇王を愛した偉大な剣は、彼女が死ぬとき、魔法をかけた。

 もし、二人生まれ変わることがあるのなら。

『覇王の力』は、その記憶とともに、自分で解くと。

 なぜなら。

 その力を放置してしまえば、自分が出会う前に、覇王は、必ず、他の誰かに愛されてしまうから。

 そして、自分が出会うその前に、世界が滅びてしまうかもしれないから。

 自分が、この世に存在している時だけの特別な力にしておこうと決めたんだって。


 ……うん。

 それ、もの凄く正解。

 一見平和の象徴の『愛』だって。

 受ける器がたった一つしかないのなら、欲しいもののために、争は始まってしまうんだ。

 そして、もう一つ注文をつけるなら。

 そんな危ない力なんて、永遠に封じてしまえば良かったのに。

 今、半分目覚めかけたわたしの力で、フェアリーランドは、大混乱だ。

 ヒトが見る、幸せの夢と、希望。それに、キレイな幻想の国のハズなのに。

 愛に狂ったヒトたちが、みんなで争い、怒鳴ってる。

 この状態で、まだ半分だなんて。

 覇王の力は、男女関係無いみたいで、視界の片隅に、美有希と賢介が夢遊病みたいにぎくしゃくと争っているのを見てぞっとした。

「怖いよ。とても、怖い」

 追って来る蒼い巨人をかわしながら、少しずつ、地上に降りていた星羅は、震えるわたしを、改めて抱きしめた。

「……大丈夫。
 僕は、例え、真衣がどこの子でも。
 世界中を、敵にまわしても、必ず守るって言った」
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