はだかの王子さま

 そんな、お父さんの様子に、星羅が苦笑する。

「そうだけどさ。
 その『魔剣』は、この世で切れないモノはないから『0』で。
 形を無限に変えられる……つまり、自分自身に形がないから『0』の魔剣なんだろ?
 しかも、その所有者になるために、何人の腕に覚えのあるヤツらが、争奪戦に参加したんだっけ?
 ……千単位の人数だっけ? 一万人?」


 おそるおそる聞いた星羅に、お父さんはあっさり肩をすくめた。

「……ケタが違うな。そんなに少なくなかった」

「うあ。
 それでキャベツなんて切ったら、フルメタル……じやなかった、内藤に負けたヤツら、全員。
 目の幅の涙を流して、しくしく泣きそう。
 ……っていうか。
 良く、まな板が持つなぁ。
 普通、それで切ったらまな板どころか、キッチン自体が破壊されかねないじゃないか?
 なのに……ソレも、内藤の技量?」

「ふふん」

 星羅の目の前で、お父さんは、珍しく機嫌良く、胸をそらした。

 それを見て、星羅はかりぽりとコメカミあたりを掻く。

「ほめているつもりは、全くないんだけどね」
 
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