はだかの王子さま
 そして、すぐ後から走って来た星羅に、わたしを引き渡しながら。

 二人で、何か早口で話し会っているうちに、賢介、美有希も合流し。

 そして、結局。

 みんなして、どやどやと、地下迷宮に入って少し歩くものの、地表近いこの部屋になだれ込み。

 ついた途端、息をつく暇もなく、お父さんはわたしに、元通りの普通の女の子になる魔法をかけた。

「真衣を前の姿に戻せる者は、一人でも多い方が良い」

 お父さんは、そう言って。

 今までの急いでいる様子に比べて、かなり丁寧に。

 わたしが元の真衣に戻る魔法のやり方は、ここにいるみんなにも判るように、教えてくれたんだ。

 けれど。

 魔剣0は、まだぐるぐる目を回していたし。

 わたしと美有希はさっぱり判らず。

 賢介も出来るか、とても怪しく。

 ちゃんと理解出来たのは、星羅とハンドだけみたいだった。

 ……って。

 お父さんは、雷の使い手だし。

 一回で覚えた二人とも、それぞれ星羅は炎、ハンドは風の最高位の魔法使いサマ……だよね?

 変身するのに、わたしの元になった女の子の血を使わなくても良かったものの。

 前の姿になるのは、そんなに難しいモノ……なのかな?

 あとは、元に戻ろうと強く思わない限り変身しないだろう、と言われてほっとする。

 うん、大丈夫。

 わたし、覇王になりたいなんて思わない。

 今までの『真衣』の姿に戻ったら、調子がすごく良い~~

 なんとか、立ち上がることも出来るようにもなったことだし。

 思わず、等身大の鏡に自分の見慣れた姿を鏡に映してみたら。

 星羅が、ほっとしたように笑ったんだ。

 そして、今。

 そもそも騒ぎの原因だったわたしは、地下に隠れることが出来たけれども。

 地上は、まだ、きっと大混乱だ。

 お父さんは、ハンドと賢介に、今すぐやらなくてはいけない、フェアリーランドにいる一般客の総退去指揮を指示し。

 美有希に、フルメタル家の当主として、ピックワールドの住民の面倒を見させ。

 星羅と、今後必ず問題になって来るはずの、警視庁とマスコミへの対応(言いワケ)を打ち合わせ。

 ……とか。

 実に手際よく、役割を振り分けた。

 そして。

 わたしを除いたそれぞれ、自分の仕事をしに、この部屋を飛び出して行こうとする、寸前。

 おまけ……って言うか。

 何かのついで、みたいに言った。
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