はだかの王子さま
 それでも、ま、いいや、なんて。

 星羅は、あまり深くは突っ込まなかった。

 ガタガタと椅子を鳴らして、朝食の席につこうとする所を、父さんに止められた。

「……まて、桜路。
 髪が濡れたままだ。
 そのままモノを食うつもりか?」

「……マズいかな?」

 メッシュの入った金色の髪を、一房すくい。

 不思議そうに眺める星羅に、父さんは、ため息をついた。

「しかたねぇ。
 桜路。
 髪を乾かして、服を出してやるからこっちへ来い。
 それと、真衣。
 朝飯が少し遅くなるから、学校に遅れねぇように、他の用意をしとけ」

 なんて、星羅の腕を引っ張り、てきぱきと指示を出すお父さんに、わたしは、言った。

「ほとんどご飯、出来てるじゃない。
 おかずをお皿によそうのくらい、出来るわよ?
 あと、千切りキャベツの続きぐらいなら……」

 ……って、腕まくりしたら。

 父さんと星羅が、くるっと振り返って同時に言った。

「「千切りキャベツは、止めておけ」」


 ええ~~

 何かの役にたちたかったのに。

 けち!

 
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