はだかの王子さま
さすがのお父さんも、王さまの気まぐれは、読み切れなかったらしい。
不機嫌そうなお父さんに向かって、王さまが笑う。
『それは気まぐれ、ではなく『運命』と言うのだよ。
そなたがヴェリネルラを愛さないと言うのなら。
おとなしく、我に娘を捧げれば良いのだ』
前王殺しも含めた数々の罪は、それで許そう、なんて!
自分につきつけられた剣も目に入らないのか。
王さまの余裕たっぷりな言葉に、お父さんは、ぎゅっと眉を寄せた。
『王よ。
あなたは『覇王』の歴史を知らない。
力を封じたとは言え真衣は覇王だ。
真衣を側に置けば、昔滅んだ国の王と同じことが起こるぞ』
『我は、そんなに間抜けな王ではない』
『どうだかな?
この時点ですでに、真衣に執着してるじゃないか。
それに俺は、真衣の父親として娘の幸せを願う権利がある。
王では真衣を支えられない。
不幸になるだけだ』
そんなお父さんの声に、王さまはいきり立った。
『我が無理で、弟ならば良いと!?
外見は、いくらでもコピーが出来る。
他に、剣の腕や魔法以外、どこがゼギアスフェルに劣っていると言うのだ!
我は、なんとしてでも、ヴェリネルラを連れ返ってみせる!』
『この状況で、僕の真衣をさらって逃げられると、本当に思ってる?』
美有希はともかく。
星羅とお父さん。ハンドと賢介の戦える四人がわたしを囲んで守ってる。
しかも、ここは地下迷宮の隅っこで、通路も限られているんだ。
星羅の声に、王さまは、鼻を鳴らした。
『何のために、こんな長い間、我は過去を話し。
お前たちの議論を黙って聞いていたと思うのだ!』
すべては時間稼ぎだ、なんて。
王さまは、そう言うと、高らかに叫んだ。
『ソドニ!!
セイラムド・フォン・ソドニキュラエス!!!』
って!
ここ、地下よ!?
どんなに叫んだって、外に声が届くはずが……ない。
と、思った時だった。
遠吠えのような王さまの呼び声に、竜が応えた。
ガギャアウォォォオン……!!
それは。
大地を震わす竜の咆哮だった。
不機嫌そうなお父さんに向かって、王さまが笑う。
『それは気まぐれ、ではなく『運命』と言うのだよ。
そなたがヴェリネルラを愛さないと言うのなら。
おとなしく、我に娘を捧げれば良いのだ』
前王殺しも含めた数々の罪は、それで許そう、なんて!
自分につきつけられた剣も目に入らないのか。
王さまの余裕たっぷりな言葉に、お父さんは、ぎゅっと眉を寄せた。
『王よ。
あなたは『覇王』の歴史を知らない。
力を封じたとは言え真衣は覇王だ。
真衣を側に置けば、昔滅んだ国の王と同じことが起こるぞ』
『我は、そんなに間抜けな王ではない』
『どうだかな?
この時点ですでに、真衣に執着してるじゃないか。
それに俺は、真衣の父親として娘の幸せを願う権利がある。
王では真衣を支えられない。
不幸になるだけだ』
そんなお父さんの声に、王さまはいきり立った。
『我が無理で、弟ならば良いと!?
外見は、いくらでもコピーが出来る。
他に、剣の腕や魔法以外、どこがゼギアスフェルに劣っていると言うのだ!
我は、なんとしてでも、ヴェリネルラを連れ返ってみせる!』
『この状況で、僕の真衣をさらって逃げられると、本当に思ってる?』
美有希はともかく。
星羅とお父さん。ハンドと賢介の戦える四人がわたしを囲んで守ってる。
しかも、ここは地下迷宮の隅っこで、通路も限られているんだ。
星羅の声に、王さまは、鼻を鳴らした。
『何のために、こんな長い間、我は過去を話し。
お前たちの議論を黙って聞いていたと思うのだ!』
すべては時間稼ぎだ、なんて。
王さまは、そう言うと、高らかに叫んだ。
『ソドニ!!
セイラムド・フォン・ソドニキュラエス!!!』
って!
ここ、地下よ!?
どんなに叫んだって、外に声が届くはずが……ない。
と、思った時だった。
遠吠えのような王さまの呼び声に、竜が応えた。
ガギャアウォォォオン……!!
それは。
大地を震わす竜の咆哮だった。