はだかの王子さま
 わたしを担いだ王さまの次に、すぐ星羅とお父さんが飛び出した。

 ハンドも、美有希の手を引いて、地上に出て、最後に賢介がゴブリンを抱えてて来たけれど!

 追いかけて来ようとした皆の前に、大きな黒竜が立ちふさがったんだ。

 地上は、まだ混乱中で、お客さんや関係者じゃない、ビッグワールドの人々がウロウロしてる!

 突然の地震や、飛び出した部屋。

 そして何よりでっかい竜の存在に驚いていた。

 その様子に、お父さんは舌打ちすると、ハンドと、賢介、美有希に一般人の誘導指示を出して、竜の方を向き。

 星羅は竜に向かって叫んだ。

『ソドニ! どけ!』

 でっかい竜相手に、星羅の剣では役に立たないのは、誰にでも判る。

 星羅も竜との直接戦闘をする気はないらしい。

 一瞬で狼の姿に変化し、服を脱ぎ捨てると、わたしを抱えた王さまに向かって走った。

 そして、飛んで来た竜の尻尾をくぐり、駆けぬけようとしたんだけれど!

 突然せり出した土の壁が、星羅の行く手を阻んだ。

『ゼギアスフェルを!
 フルメタル・ファングを!
 我とヴェリネルラの邪魔をする者は、全員埋めてしまえ!』

 わたしを抱えたまま。

 フェアリーランドで白薔薇宮殿の次に背の高い時計台の上に立った王さまが命令した。

 すると、ソドニは、乗用車ぐらいの大きさの土くれを地面から掘りあげ、星羅に向かって投げつけたんだ。

『星羅……!』

 思わずあげたわたしの悲鳴に応え、星羅はなんとか逃げだせた。

 そして、レストランの壁を蹴り、ジャンプすると上手く体勢を整え、こっちに来る!

 そんな星羅に向かって、ソドニが叫んだ。

『王の邪魔は、誰にもさせない!』

『ソドニ! 止めろ!
 王よ! 僕の真衣を返せ!!』

『これ以上、フェアリーランドを破壊すると、こっち側への言い訳が苦しくなるぞ!』

 星羅とお父さんの声に、ソドニは『うるさい!!』と吼えた。

『私は、今年こそ王に認められてビッグワールドに帰るのです!』



 ガォォォン!



 大きな竜は鳴いて叫び、次々に地面をえぐって投げつける。

 その様子を見兼ねて、お父さんが言った。

『0、ドラゴンバスターソード』

 って、ちょっと待って!

 いくらでっかい竜だって、魔剣0じゃ絶対切れる!
< 427 / 440 >

この作品をシェア

pagetop