はだかの王子さま
 星羅の叫びに、わたし苦しい息の下でも『そうか』って納得する。

 昔生きた初代の覇王は、グラウェの調節された部屋でなければ、生きていけなかったと言ってたっけ。

 中途半端に目が覚めていた時は『調子悪い』だけで済み。

 身体に覇王がいた時は、グラウェに慣れている彼女が、調整してくれてたヤツを無意識に使ってたから良かったけれど。

 一度覇王の力を封じられ、リセットされた状態で『わたし』にとって良く判らない『グラウェ』の調整をし直せ、って言われたって、それは無理だ。

 そんな、わたしのすぐ近くで、星羅が叫ぶ。

『グラウェは、万能エネルギーとして使われ、年を経るごとに、減少の一歩をたどっている。
 本当は、覇王のために整備されたはずのビッグワールドでさえ、例外ではない!
 力を封じられている時はともかく!
 覇王の本性が出たら、グラウェの量が足りないんだ!
 それでこんなに苦しむのに!
 王よ!
 あなたは、今となっては、更にグラウェの少なくなったビッグワールドに真衣を連れてゆくのか!?』

『う……』

『あなたの欲望を満たすためだけに、窓もない小さな部屋に真衣を押し込んで、彼女の全てを奪うのか!?』

 真衣はまだ、十六になったばかりだと言うのに!

 これから先の可能性を。

 自由を。

 希望を。

 そして、穏やかな呼吸さえ。

 全て奪って、それで満足なのか!?

 そんな風に、真衣を無理に束縛し、苦しめることが、あなたの愛なのか!?

 星羅の強い叫びに王さまは『違う……!』と大声で怒鳴り、はっとしたように眼を伏せた。

 そして、ようやく。

 強く、強く、わたしのカラダを抱きしめてた腕を、そっと緩めてくれたんだ。










 
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