はだかの王子さま
 わたしがじたばたしているのに星羅は、気にしないらしい。

 このまま、ぼ~~っとしていたら。

「はい、あ~~ん☆」

 とか言って、自分のスプーンでご飯をすくい。

 わたしの口に入れかねない様子に焦って、自分のハシを手に取った。

「ご、ご飯ぐらい!
 じ、自分で食べられるから……」

「そう?
 だけど、はい。あ~~んって。
 なんかラブラブのカップルっぽくない?
 僕的には、すっっごく憧れるんだけどな~~♪」

 そんな風に、とってもうれしそうに話す星羅の顔が、一瞬曇り、上目遣いで、わたしをみたのは、別に。

 お父さんのとげとげしい視線を感じたから、ではない。

「これから、少しの間、会えないから……
 今日の、このときぐらいは、真衣が僕に甘えてくれないかなぁ……なんて」

 ……え?

 小さな声で、さらりと流したその言葉に、わたしは聞き返した。

「……会えない……の?」

「う、うん。
 でも、今日から、二週間ぐらい、なんだけどね」

「今日からって!
 明日から、ゴールデンウィークだよね?
 しかも、四月三十日は、わたしの、五月一日は、星羅の誕生日じゃない」

「……だから、会えないんだ」
 

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