はだかの王子さま
「え~~ウソ~~やだ~~」

 わたしが、思わず言えば。

 星羅は、まるで、犬の耳が、ぴこっと下がるように謝った。

「……ごめんね、真衣」

 ……うん。

 一応、駄々をこねてみたけれど……本当は知ってる。

 フェアリーランドは、アミューズメントパークだから、連休は、めちゃくちゃ混むんだ。

 しかも、連休中には特別なイベントも、目白押しな上。

 変な日に、フェアリーランドは、一年に一日だけ、休園日する。

 それが、五月一日星羅の誕生日だ。

 一応、一日は、カレンダーが赤色になってないけれど世間さまは、メーデーだので休みのヒトが多いのに。

 フェアリーランドは、遊具のメンテナンスを口実に休園するから。

 遊具の整備担当、技術部長のお父さんは、今日からもう、忙しい。

 しかも、今年のテーマはメガネを使わない3D映像プラス1だったっけ?

 リアリティを追求した、世界初の映像革命だのってコトで、夜に帰って来られるか謎なほど忙しい上。

 明日の二十八日から五月一日までは、確実に泊まり掛けになるんだ。

 ……テーマは、毎年違っても、連休中に、忙しいのは毎年のこと。



 わたしの誕生日に、誰も祝ってくれることもなく。


 一人で、コンビニのお弁当とケーキを買って、食べるのはいつものこと。



 ……だから。



『これ』は、仕方ないんだからね。



 寂しくなんて。



 ……ないんだから、ね?


 
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