はだかの王子さま
「あは。
 今年は初めて、星羅が人間の姿を手に入れた年で、フェアリーランドの外にも出られるし。
 星羅は、コスチュームデザイナーさんだから。
 遊具機械のメンテナンスは、関係ないじゃない、って一瞬、期待しちゃった」

 連休に、アミューズメントパークは、ドコの部署だって、忙しいはずなのに、ね?

 ……と、軽く、自分の頭をつついて、舌を出した。

「「……真衣」」

 急に、寂しそうになった、星羅とお父さんが、二人同時に、わたしの名前を呼んだ。

「もう! 本当は大丈夫よ。
 だって、連休が終わったら、改めて、誕生日のお祝いをしてくれるんでしょう?」

「「それは、もちろん!」」

「それに、どっちにしても、わたし、照れちゃって星羅の顔すらまともに見られないし」

「真衣~~」

 情けなさそうな星羅の声が、外見に似合わなくて、なんだかちょっとだけ笑える。

 でも、かえって、それに安心して。

 星羅の顔を正面から見ようと、振り向いたら。

 ……めちゃくちゃ近くに、星羅の顔が、迫ってた。

「~~ぅあ!」

 び、っくりした……っ!

 驚いて。

 がたっと、椅子ごと倒れそうになったわたしを、そのまま支えて、星羅はささやいた。
 
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