はだかの王子さま
 思わず出て来たわたしの涙を、星羅は指で拭こうとしたらしい。

 なんで、わたしが泣きだしたのかが、全く判ってない、驚いた顔をしてた。

 おずおずと伸ばして来た手を振り切って、わたしは、がたんと。イスを鳴らして星羅の前から、逃げだした。

「触んないでよ!」

「……真衣」

「わたし、星羅なんて、大っ嫌いなんだから!」


 そうよ!


 星羅なんて、もう、知らないもん!







 

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