はだかの王子さま
 そう。

 楽しげにカタる美有希の目は、かまぼこ型だ。



 こ、コレは絶対~~


 わたしの相談に乗ってる、って言うより楽しんでる~~


「あ、アドバイスは嬉しいけどさ。
 自分の彼氏を慌てさせる、なんて~~
 そんなコト出来ないし。
 わたしに彼氏がいるのを知ってて、そんな莫迦なお願いを聞いてくれるようなオトモダチなんて、わたしにはいないよ~~」

 ……そう言うことにして、もうこの話を辞めようと思ったのに。

 思わず引いたわたしの背をばしばし叩いて、美有希は言った。

「ええ~~そうかな?
 ねぇ!
 守野君だったら、ぴったり、だと思わない?
 真衣の幼なじみで、ちょっと言えばすぐ、何でもやってくれる良いヤツじゃん。
 しかも、学園のアイドルって言われるほど、かなりカッコイイし。
 桜路さんを慌てさせるなら、一番ぴったりだとは、思わない?」

 いや、むしろ彼しかいない!

 なんて、盛りあがってる美有希に、わたしは引き気味に聞いた。

「守野君って、賢介~~?」

 ……いや、それは無理でしょ。

 だって、星羅自身に『幼なじみの賢介と誕生日の夜をすごしたら?』って言われたぐらいだし。

 自分が、全面信頼しているヤツと、一緒に行ったって、絶対星羅は、慌てないと思う。
 


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