はだかの王子さま
そもそも、わたしが大きくなってから賢介と二人きりになることは、無く。
賢介の方もどっちか、と言うと、わたしより、お父さんのつくるご飯狙いでウチに来る。
だから、バイトが遅くなって家でご飯を食べて帰る事は、たまにあったけど。
お父さん自身が、九時を過ぎると、賢介を家から追いだしたから。
彼が泊る、なんて今までありえなかった。
だって、それは。
なんだかんだ言っても、星羅を意識したことで。
わたしが、誰とも誤解の無いように、考えてくれてた、って思ってたのに!
今回は、ケーキを一緒に食べて、バイバイ、じゃなく。
それから、賢介が泊まる……の?
それって、もし、賢介が気の迷いで、わたしに何かしようと思ったら、逃げられないってこと……だよね?
何か、お父さんまで、星羅を遠くにやってしまうつもりみたいで、凄くイヤだった。
そんなふうに、わたしが、思っていることも知らないで、賢介自身は、本当に嬉しそうだった。
「いや~~ 真衣の家に泊って良いなんて、許しが出るなんて、ちっとも思わなかったけどさ。
オレ、とうとう一人前って師匠に認められたんじゃね?
嬉しいよ!
なんだか、オトナになった、って感じ?」