はだかの王子さま

「オトナ! ナニ言ってるのよ!
 なんか、やらしいわね!!」

 呆然としたままのわたしの代わりに、美有希が叫ぶ。

 ……他にも、二人はなんだかんだと言って騒いでるみたいだったけど。

 ショックで。

 賢介が、美有希に何か言われているのを、わたしは聞き取れなかったみたい。

 気がつくと、美有希が、ぐぃ、とわたしの肩をぐい、と引っ張ってた。

「ねぇ、聞いてる?
 こうなったら、あたしも真衣の誕生日に一緒に泊ってあげるから!
 良いわね!?」

 とうとう、しびれを切らしたらしい。

 美有希がそう言った途端、だった。

 今まで、へらへらしていた賢介の顔が、少し真面目になった。

「悪いけど、的川(まとがわ)さんは、ダメ」

「美有希も一緒じゃダメって、なんで!?」

 驚いて聞くわたしに賢介は、言った。

「師匠が、関係ないヤツは巻き込むな、って……」

「……え?」

 父さんが、なんだって……?

 思いもかけない賢介の言葉に、聞き返したら。

 賢介は、あわわわっと自分の口を押さえて、言い変えた。

「えっと、せっかくのオレたちの初デートじゃん?
 誰にも邪魔されたくないんだよ」


 デート!!
 

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