はだかの王子さま
 
 やっぱり、それ、デート、なんですか。

 そりゃあ、ね。

 いきなりイケメンになった人間の姿に驚いて。

 ここの所、なんとなく、ぎくしゃくしては、いるけれど。

 やっぱり、わたし、星羅が好き。

 誕生日込み、とはいえ。

 星羅と会えないのは、たった二週間でしょう?

 そのツナギ、みたいに賢介と付き合うのは……やだな。

 賢介は、幼なじみで友達だと思ってる。

 ……でも、やっぱり、賢介は彼氏、じゃないんだ。

 この騒ぎは、星羅が新しい恋人が出来たからかもしれない、なんて思ったりもしたけれど。

 良く考えれば、星羅がわたしの他に彼女なんて作る暇……あったっけ?

 とも、思う。

 白薔薇宮殿の地下での星羅は、いつでも一人だったし。

 正確に言うと、去年のクリスマスに星羅は、人間の姿を手に入れて……それから、二月まで、ずっと眠ってた。

 それから、目覚めたとたん。

 眠ってた分の仕事を猛烈にこなした揚句。

 三月には、雑誌取材まで入り出し……

 この、ゴールデンウィーク直前に、写真無し、とは言え星羅の特集が、ぽつぽつ出始めてる。

 ……って所だ。

 
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