はだかの王子さま
 そう、星羅は微笑んだ。

 本当は、これ以上、真衣は何も変わらなくったって良いんだけどねって、言いながら。

「望むなら。僕が真衣をお姫様にしてあげる」

「え……?」

 星羅は、驚くわたしの手をとって、甲に口づける。

「真衣とちゃんと付き合い始めて、まだ半年経ってないけど。
 僕は、初めて出会ったころからずっと、真衣のことが好きだったんだ。
 だから、僕の描く衣装や、ドレスのデザイン画は、君に似合うものばかりだし。
 サンプルは、ほとんど全部、真衣のサイズだよ。
 だから、また遊びにおいで。
 君が僕の工房に来てくれたなら、真衣は、物語のお姫様みたいにキレイに着飾れる」

 ……そう。

 星羅のお仕事は、日本一お客さんの来るアミューズメントパーク『フェアリーランド』の衣装製作担当者なんだ。

『フェアリーランド』は、日本一混んでる飛行場近くの海に出来た、とても広々とした人工島。

『キングダム・リゾート』の中にある、いわゆる遊園地っていうヤツだ。

 銀色の『狼』……って言うよりも。

 目の大きな、可愛い仔犬に見える、ゆるキャラがマスコットで、ジェットコースターや、回転木馬他、最新の映像技術を使った最新の乗り物もある。

 他にも、世界中の童話の世界をモチーフにしていて、お昼と夜に、大型フロートとダンサーが園内を行進するパレードが有名な、アミューズメントパークだ。

 星羅はそのバレードと。

 パーク内を歩き、やってきたお客様をお迎えしたり、写真に一緒に映る童話のキャラクターの王子様や、お姫様の衣装を作ってるコスチュームデザイナーさんだった。
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