はだかの王子さま

 だから。

 星羅が、わたしを『お姫様』にしてくれるって言うのなら。


 わたし、本当に、世界中のお姫様になれるかもしれない。


「星羅の衣装は、とっても好き。
 でも……」

 素直に、うん、って言いづらい。

 どっかの週刊誌では、採寸の仕方からして、素人くささ丸出しの前代未聞の方法、だの。

 斬新過ぎて、あり得ない布使いだのって、悪口を言われたこともあるけど……

 どんな人でも、星羅の衣装を見たら、一度は、驚いて黙り込む。

 その作り方はともかく、作品自体にケチをつける人は、誰もいなかった。

 いつもの星羅は、フェアリーランドの象徴、白薔薇の宮殿の地下にある、デザイン工房から、一歩も外に出ず。

 当の週刊誌にさえ、その美形な顔写真を提供していないのに、純粋に星羅の衣装デザインの人気も高いんだ。

 なにしろ。

 季節毎に変わる、お姫さまのドレスを見るためだけに、パークに来るお客さまも少なくないんだもん。

 うぁ……


 考えれば、考えるほど、わたしと星羅は違い過ぎる……!

 これじゃ、いくら星羅の服を着たって、釣り合わないよ……


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