こおにの手紙
はつこい
 その様子をおさいせん箱の裏からこっそり見ていたものがありました。


 一本角を持った空色の子おにです。



「みえちゃんは今日もかわいいなぁ」

 子おにはほっぺたを夕日色に染めて、ぐふふと笑います。
 両手いっぱいにお供え物のよもぎもちとごまだんごを抱えています。

「みえちゃんのお肌は、つきたての白餅よりもやわらかいし、お目目はザラメたっぷりのこしあんよりもつやつやだ。トメばあさんも、ヤスコさんもみんな好きだけどみえちゃんみたいにつやつや、ぴかぴかな子はいないぞ」

 八十八神社にやってくるのはお年寄りばかりです。



「人間ってしわしわだな」



 そう思っていた子おにが、初めてみえちゃんを見たときの衝撃といったらありません。
 本当にかみなりがどどんと落ちたようでした。



 それからずっと、子おにはみえちゃんが大好きなのです。





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