俺の日常は、ある日を境に変わってしまった

「うッ……ぐすッ……」

「あ~、なんだ……悪かったよ。……ほら、ハンカチ」

すすり泣く葵を前にして上手く言葉が浮かばず、とりあえず常備していたハンカチを彼女に渡してみる。

すると、半ば奪い取るようにしてハンカチを手に取り、俺に背を向けて涙を拭った。

ついでにーー

「ーー!!」

……鼻かみやがった。

「……はい」

「普通、洗って返すとかそういう流れだろ、そこは……」

潤ってらっしゃるよ。

そりゃあ、もう滴るほどに……


「き、今日のところはここで引いてあげます!命拾いしましたね!!」

言うや否や、正義の味方にフルぼっこにされた悪党のように走り去っていく葵様。

「結局、何がしたかったんだろうな」

「?」

やれやれ、何か数ページくらい無駄にした感じだ。


チャイムが鳴り響く中、誰に語るでもなく悟っていた奴がいた。







っていうか、俺だった。
< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

少女と精霊と聖なる神子

総文字数/1,192

ファンタジー3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop