俺の日常は、ある日を境に変わってしまった
さてーー
双子たちと別れ、いざ二階へとたどり着いた訳なんだが……
「……チーちゃん、アレ」
綾瀬が何かを発見したようだ。
「ああ、分かってる」
「行かないの?」
「行く必要性が無い」
「……………」
「……………」
ここは、数多くの学生たちが通う学び屋だ。
校舎内や敷地内を歩いていれば、必ずどこかで誰かと会うだろう。
鞄をロッカーに納める者や、朝から勉強している頑張り屋。
仲の良い友達と何気ない話題で盛り上がる者や、机に突っ伏して夢の世界へと旅立つ者もいる。
至って普通で、当たり前のようにさえ思えてきたこの光景。
だが、1人だけ“普通じゃない”し“当たり前にはしたくないが、当たり前の光景になりかけている”人物が、現在進行形で、こちらを穴が空くほど睨みつけている。
「じー…………」
堂々と隠れもせず、しかし、他者の邪魔にならないような位置からだ。
これで他人を巻き込むような野蛮人なのであったら、俺は即刻My携帯で110番しているところだ。