最弱暴走族と桜【完】SS更新中!


「じゃあさー、華龍に「馬ー鹿」…」


男の人の言葉を誰かが遮りました。
その言葉にその場にいた全員が言葉の聞こえた方を見ます。

そこに居たのは二人の男の人ですが、さっきの言葉はこっちに向かって吐かれた言葉じゃないようです。


「いや、だってさ…」

「もっと買っとけよ!金はあるんだろ」

「食えなかったらどうするんだよ!」


普通に言い合いをしているだけの様ですね。カラフルな男の人達の気は今はそっちに向いています。その隙にサッと逃げて…。


「チッ、おい!」

「ん?」

「テメェ等何してくれたんだよ…、人の会話遮ってさッ!」

「って、尚(ナオ)!鬼刃だ…ッ」


男の人の一人が“鬼刃(キジン)”と呟くと、カラフルな男の人達はニヤニヤし始めました。尚と呼ばれたお兄さんはサァァと顔を青くして「マジデスカ」と片言で呟きます。

おや。本当にこの街最強の様ですね。


「そっちの、尚だっけ?お前等、鋼牙(コウガ)ンとこのだろ?あそこ、まだ活動してたんだぁ」

『コウガ?』

「そうだよー。結構有名でさ、“最弱の族”って言われてんの」


私が呟くと親切に教えてくれました。


『(鋼牙。鋼(ハガネ)の牙、ですか)』


そう思いながら二人を見ると、お兄さんと目が合いました。随分と顔色が悪いです。


「なあー、お前等いい加減潰れろよ」

「…ガッ!?」

「そうそう」


格好悪いです。リンチが始まりましたよ。
たった二人を五、六人で。

こんなのばっかりしているから、“街”止まりなんですよ。
不意にまたお兄さんと目が合います。


『(に、げ…て…?逃げて?)』


殴られながらも私を逃がそうとしているんですか?
カラフルな男の人達にばれない様に口パクで伝えているお兄さん。



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