最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
その五。(第三者目線)
“10分休憩してすぐに午後の稽古に入りますよ”
鬼みたいな事を優しく言った三十分後。
『ゴラァァア!!テメェ等ァア、さっさと掛かって来いやァァァア゛!!』
「「うぎゃゃゃゃぁぁ゛あぁああ゛ぁあ!!!!」」
道場は地獄化としていた。
午前の前半とは違い、午後の後半は“優しい姐さん”はどこへやら。
“地獄の番人・血桜”のレッテルが似合う桜。
死屍累々の道場を見て、飛鳥が言っていてのはコレか…。と他人事のように思っていた大和。
さて、その大和にも地獄の矛先が向き。
『大和…、お前もヤるんだよ』
「……オレハ、腹ガ痛クナッタカラ、帰ル」
血桜化した桜に敵うわけもなく、自分の中の危険信号が鳴り響いている中で逃げ出そうとした大和の足を誰かが掴んだ。
「そうちょー…、にがしませんよ…」
『総長は仲間を見捨てたりしないよな?』
「う゛…」
足を横たわる相汰に掴まれ、その間にガシッとものすごく強い力で肩を掴まれた。
振り向くと手とは裏腹に満面の笑みの桜。
勿論、その後大和の悲鳴が上がったのは必然的だ。
午後の稽古が終ったのは八時三十分。
間に十五分の休憩をはさんだとしても、道場に転がっている全員の口から魂が出るまで続いた。
『…初日から、ちょっと激しかったか?嫌々、何事も一番初めが肝心だ。これくらいが丁度いいか』
一番激しく動いたハズの桜は息一つ乱しておらず、一人ピンピンしていた。
鋼牙全員、これが華龍トップの力か…。と再び実感した瞬間だった。
『ほら、魂しまえ。これからランニングに行くぞ』
「まだ、…するんですか…?」