最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
その八。(木ノ内Side)
鬼刃の奴らが殴り込みに来た。
その所為できっと姐さんはイラついてる。
「お前等の所為で姐さんに怒られるのは俺等なんだぞぉぉお!!」
「解ってんのか、あぁ゛!?姐さんの怖さを知らねえくせに殴り込みになんか来んじゃねぇよッ!!」
「あああ!!明日が怖いんだぞぉぉお!」
きっと、それだけじゃない。けど、それがスイッチになって鋼牙が強くなってる。多分。
俺だって、姐さんは怖い。けど、それ以上に今までこんな奴らに負けてたのか、と自分自身にムカついた。
俺達は弱い。全然強くない。
でも、たった二日。姐さんと一緒に組み手なんかをしただけで、鬼刃相手に有利に戦ってる。
何もしなかった俺達。
負けても、それは仕方ないと諦めてた俺達は弱くて当たり前だと思った。
総長もきっと、何もしない俺達を見てやる気がなかったんだと思う。
姐さんが来たのも理由にあるかもしれない。でも総長はそれだけじゃ動かない人だ。
あの時、俺達にやる気があるのかと聞いた。それはきっと俺達を試したんだ。やる気がなかった俺達がやる気を出した。
だから、総長は強いのに俺達に付き合ってくれる。俺達と一緒に姐さんと強くなってくれる。
「んで…、こんな奴等が…?!」
鬼刃の総長がありえないと言う顔で俺達を見る。
何でだろう。今なら誰にも負ける気がしない。
『お前等には仲間がいるだろう?』
姐さんの声が響く。
…仲間?
俺は目の前の鬼刃の一人を殴って少し後ろに下がる。そうすれば、トンと誰かとぶつかった。
違う。背中が合った。
後ろを少し見ると、柚原と視線が合う。
あぁ、そう言う事かと納得する。
今、俺達は一人じゃない。周りに仲間がいる。後ろを守ってくれる奴がいる。だから、負ける気がしない。さっきの姐さんの言葉を聞いてきっと皆そう思ってる。
何も遠慮しなくて喧嘩するってこんなに楽しい事か、と知る。仲間に背中を預ける事はこんなにも良い事かと、知る。
知らない事を知るのは楽しい。本当にそうだと思った。