最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
その十一。
――女一人に怯えるなよ。
聞こえるハズの無い声が聞こえた。
――ばっ…!ミキちゃんは黙ってろ!!
『……。相汰くーん?』
相汰の〝ミキちゃん〟って、もしかして〝美樹(ヨシキ)〟じゃないの?
――ってか、あり得ねぇだろ。あの〝バカ桜〟が先生なんて
『…フフフ。相汰くーん?そこにいるクソ教師と代わってくれるー?』
――は、はひぃぃい!!
中学時代を思い出す。
ハッキリ言ってあたしが荒れていた頃。
妙にあたしに関わって来る教師が、一人いた。
他の教師はあたしを怯えて見て見ぬふりをして放って置くのに、その教師は何かとあたしと向き合う。なって言うか、熱血教師?みたいな。当の本人は涼しい顔していたけど。
――よぉ。
『何してンだよ、テメェ』
――教師。
『アホか!そう言う事じゃねぇ。何で、相汰達と一緒にいるんだよ』
――担任だからだよ、空道サン。
『その言い方、飛鳥並みにウザいな』
――あんな、クソ野郎と一緒にするな。
耳に届く声はあの頃と何も変わらず。
相変わらず生徒に怖がられてるんだろうなー、とか思ったり。
あの笑顔は怖い。背後が黒くて般若でも背負ってそうだ。
顔を上げると一服してた大和と目が合う。「誰」と、目で聞いて来る。
『相楽』
――オレを呼び捨てにするとは良い度胸だな。
『違う。大和が誰って聞いて来るから。それに今なら負けねぇ』
――あー、大和な。ちょい代われ。
『? 大和』
「あ?相楽?」
頷いて大和に携帯を渡す。