最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
五日目*大切なんです。
その十三。
『いなされたら直ぐに次です』
「…く…っ!」
稽古五日目の午前中。
休みの一日目は頼まれて、その次の日から稽古開始だったから全部で稽古日数は六日しかありません。
皆それぞれ、実力は付いてきています。
けれど、私からすればまだまだです。
『ほら、懐が空いてますよ』
「げほっ…!」
「おーぉ、やってるな」
『アレ?お父さん?』
訪問者が来たと思えば私のお父さんでした。
手には本日のケーキが。
「太一さん?」
「久し振り、尚人」
太一と言うのはお父さんの名前。
全員お父さんの登場に目を丸くしています。
『どうしたんですか?』
「んー、ちょっと運動に」
『喧嘩をしに来たと?』
「……ダメか?」
おっさんの上目づかいなんて気持ち悪いだけですよ。
バツの悪そうに笑うお父さん。
『ぎっくり腰にならないなら良いですよ』
「俺はまだまだイケるぞ」
『……』
右の拳を掌に打ちうけながら、自慢げに言います。
「あ、後、昼から美樹も来るって言ってたぞ」
ピクッッ!
美樹と言う言葉に数人が反応しました。
するとどうでしょう?大和を中心に殺気が広がるではありませんか。
「え、ちょ、どうした?俺なんか不味い事言ったか?」
『あー、気にしないで下さい…』
気にしない方が身のためです。