最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
大和がいなかったら死んでいたかもしれないのに、あたしは妙に冷静で逆に自分が撃たれて良かったと思ってる。
「桜っ!!」
『…あす…か…』
痛みで言葉が途切れる。
何、泣きそうになってんだよ。らしくねぇな…。
今にも泣き出しそうに、くしゃっと顔を歪めてあたしの側に膝を付く。
『……っ…』
「飛鳥!止血だッ!」
「し、止血って……っ?!」
寿のあほ。このバカが止血の仕方なんか知ってるわけ無いだろ…?
「桜!」
「え…っ?美樹さん!?どうして、ここに…」
相楽……?
アイツが来たって事はあっちは大丈夫なのか…。
安心感に包まれる。
でもそれはあたしだけで。
相楽は駆け寄ってあたしを見ると飛鳥と同じ様に顔を歪めた。
「さっきの銃声…、やっぱり撃たれたのかっ」
相楽は吐き捨てる様に言うと、飛鳥の付けていたネクタイであたしの左肩を縛る。
傷口が焼けるように熱い。
あんな思いしたくない。
〝空っ!!〟
数年前の戦争の記憶が蘇る。
あの時、まだ総長じゃ無かったあたしは連れていって貰えなかった。
だからこっそり影で隠れて見ていた。
―――…でも、
目の前で起こった〝事実〟が信じられなくて。
怖くて逃げたくて。
それ以上に大切な人を失った〝彼女〟の事を思うと、やっぱり大切な人を失うよりも自分が撃たれた方が良いって思った。
でも彼女を庇って死んだ〝彼〟も今のあたしと同じ気持ちだったんだ、って分かった。
大切な人を失うのは嫌だ。