最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
目の前の突き当たりを右に曲がれば左に道場が見える。
相汰は突き当たりを曲がろうとして急に止まった。
後ろを走っていた二人は急に止まった相汰にぶつかる。
「いってぇ~…!」
「んだよ、相汰…。急に止まるなよ」
相汰はぶつかられた衝撃で近くの電信柱にゴチンと頭を当てた。
「大丈夫か?でも急にどうしたんだ…?」
「っ、…道場の前、見てみろよ」
相汰は涙目でソッと角から顔を出す。
二人も顔を見合わせてから相汰と同じ様に顔を出す。
すると、道場の前には角棒を持った男が二人立っているではないか。
「どうする…?大和さんはまだ来ないし」
「正面突破は無謀過ぎるしな」
大和達は闇月の溜まり場でまだ喧嘩をしている。
相手は鬼刃や剣羅と言っても人数で負けている以上、こっちに来るには時間がかかる。
相汰達が大和達を置いて戻ってきたのは大和に頼まれたからだ。
「あの様子じゃあ、太一さんもいないみたいだし…」
「……」
「……相汰?どうしたんだ。さっきから黙りこくって」
一言も喋らず何やら考えている相汰。
「なぁ、あの道場ってさぁ。確か裏に見付けにくいドアがあったよな…?」
「ん…?そんなのあったか?」
「あー…、あったあった!」
相汰は一か八かの作戦を二人に話す。
本当に単純なものだが道場にいる仲間を助けるにはそれしか無かった。
「けど、相汰!それじゃあ、お前が…」
「アイツ等は拳銃を持ってるかもしれないんだぞ!?」
「でも、それしか思い付かねぇんだよ!!」
大声を出してハッとする。
そして、道場の前を見るが奴等は変わりなく立っていた。
相汰は一度ため息を吐い二人を見る。
「アイツ等は裏にドアがあることを知らない。だったら裏にはいないハズだ」
「………けど」
「どうこう言ってる暇はない!裏に着いたら連絡してくれ」
「…解った」
二人は渋々と言った感じに、奴等には見付からない様に裏に回っていった。
「…大丈夫だ……っ」
相汰は深呼吸をしながら自分に言い聞かせる様に呟いた。