最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
ドォンッ ドォ――…
「……?」
「…おい、何か外、騒がしくなったぞ?」
道場のドアを破ろうとしている振動と音が無くなった。
その代わり、外がワァーワァーと騒がしい。
「――…おい!お前等全員無事か?!」
「うわぁっ!?なんっ……何だ、お前等かよ…。びっくりさせるな…」
急に道場内に響いた声。
柚原はギョッとして見てみると今までいなかった奴等がいた。
奴等がいるのは道場の奥の壁の隙間。
「どうやって…?」
「ンなこと、どうでも良い!!早く逃げろ!」
「相汰が表で囮になってるんだ!!」
「「!!」」
あの相汰が…?と全員が唖然とする。
相汰はアレで結構気が弱い。
ここ数日で確かに強くなったがたった一人であの数を相手にする程、気が弱いのが無くなったとは誰も考えていなかった。
「動ける奴は動けない奴に手を貸してや…」
ドォンッ ドォンッ
「うわっ!…まだ!?」
「まさか、相汰の奴…っ!」
再びドアを破ろうとする外の奴等。
柚原は慌ててドアを押さえて、誰が呟いた言葉にサッと血の気が引いた。
「馬鹿野郎っ!変な事言うな!!」
ゆっくりとでも素早く裏から道場の外へ行く仲間を目の端に映しながら、その場で尚人が怒鳴る。
――…パァン!!
「「!!」」
「……銃声!?まさか!」
「早く行け!!」
銃声が聞こえたのは柚原達が押さえているドアの向こう側から。
だから逃げている仲間が撃たれたと言う事は無い。
なら撃たれたのは……。
「よし。全員出た!」
「尚人も行け!相汰は俺達に任せろ」
尚人は驚いていたが自分の腕を見てから悔しげに道場の壁の隙間、ドアの向こうに消えていった。
これで道場にいるのは柚原達、四、五人。柚原達は顔を合わせる。
「相汰…。無事でいろよ……っ」
お前は強くなったんだから。
と、そう呟いてからドアを勢い良く開けた。