最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
「うぉおおぉッ!!」
恐い。
痛い。
逃げたい。
「このクソ餓鬼がぁあ!!」
「オラァアア゛ァ゛ア!!」
相汰は角棒を振り上げる男に向かって突っ込む。
そして角棒が相汰の頭に当たると同時に相汰の拳が男の顔面に直撃しバタリと男は倒れる。
相汰は息を荒く吐きながら辺りを見渡す。
相汰を中心に丸く円になっている闇月。
その中には幹部らしき男達もいたので相汰は役目を果たしていた。
「(アイツ等は逃げたのか…?)」
額から流れてきた血が右目に入りかけたので目を閉じて腕で拭う。
そして目の前の敵を出来るだけ睨む。
恐い。…恐くない。恐い。……恐くない。
恐い――…っ。
そんな気持ちがグルグルと頭の中を駆け巡る。
本当は恐かった。痛いのも嫌だし、逃げ出したかった。
それでも相汰が敵に立ち向かって行くのは桜の言葉があったからだった。
〝相汰くんはチームでいる時、一番最低な行為ってなんだと思いますか?〟
何時かの昼の休憩の時。
不意に桜が聞いてきた事があった。
相汰はそれに何となく答えた。
〝えーっと…。やっぱり裏切りとか…?〟
〝正解です。でももう一つあります〟
〝?んん゛~…?〟
〝敵の前から仲間を置いて逃げる事です〟
〝……あっ…!〟
桜は微笑みながら空を見上げる。
相汰は桜の横顔を見てから、同じ様に空を見上げた。
その日の空は晴天だった。