最弱暴走族と桜【完】SS更新中!
「…柚原、行くぞ」
「相汰……、良いのか?」
「あぁ」
相汰には分かっていた。
今の自分達が大翔や美樹の邪魔になっている事が。
きっと、自分達のいない方がやり易いハズだ。
「相汰」
「え…」
裏から抜けようとして、不意に呼び止められ振り向く。
ポフっと頭に乗る相汰より大きな手。
「強くなったな」
「…ん」
照れ臭くて短く答えてから、痛む体に鞭を打って柚原達の所に走っていった。
『で?相楽と大翔とその後駆けつけた大和達で闇月をフルボコにしちゃったの?』
話を聞いた桜が四人を見ると気まずそうに笑う。
桜はそんな四人を見て呆れるしか無かった。
「あぁそうだ、桜。闇月の連中は飛鳥のトコの人達に一応引き渡したぞ?警察に突き出すより良いだろ」
『そうだな。まだ、聞きたい事があるし』
飛鳥の実家は有力なヤクザで華龍の後ろ楯となってもらっている。
『そう言えば今何時?』
「十時五十分です!」
それを聞いた桜はカチンと固まる。
『……朝の?』
「あぁ」
呟く様に言った言葉を大和が肯定する。
『…って、もうすぐお昼!!?』
「どうしたんだ?」
『朝一で向こうに帰るつもりだったんだよっ!!飛鳥、寿!帰る用意!!』
唖然として聞いてくる大翔に桜は腕の痛みなんか忘れてベッドから降りようとする。
そんな桜を大和が慌てて止める。
「桜、腕っ」
『ンなもん、もう治った!』
「どれだけデタラメな身体だよ。せめて、今日はゆっくりしろ」
「そうっすよ、姐さん!!今日くらいは休んだ方が……」
ギロリ。
大和に続いて相汰達が心配して止めようとすれば、今にも暴れだしそうな鋭い瞳で桜が睨む。
蛇に睨まれた蛙。もちろん、桜が蛇で相汰達が蛙。
睨まれた瞬間、石像の様に固まったのは綱牙のメンバーと何故か飛鳥も。
『あ?何だ、テメェ等。あたしに盾突く気か?』
「「………っ!」」