俺がサンタで君がトナカイ【BL】
「子供たちにね、
ケーキを届けに行くんですが、
頼んでいたお店にドタキャンされちゃって」
どこかの施設のクリスマスパーティ。
そこにケーキを届けるボランティアって設定らしい。
最終的には似たような感じになるし、完璧に嘘とはならないだろう。
仲間と手伝いをする小人の妖精たちと、
全世界から遅れたクリスマスパーティー。……と、いう名の打ち上げがあるからだ。
「そうなんですか!お疲れ様です」
説明を聞くと、信じたのか店員の態度も変わった。
プレゼント費用がちゃんと用意されているから、数を言われてすぐに代金を出したせいもあるだろう。
支払いを済ませ、トラックの荷台を、サンタ力で家のどデカい冷蔵庫と繋げる。
……この位なら、俺でも出来るんだ。
自身を変化させるのはまだ無理でも、
無機物をどうにかなら出来るようになった。割と最近だけど。
3人で、ケーキを詰め込んでいく。
市場の物以上の広さを誇るそこなら、
買ったケーキを全部入れてもまだ余裕がある。
外見以上に広いそこに、
だけれど恋人と会えると浮かれている店員は疑問を浮かべなかったようだ。
どこからか聞こえてくるクリスマスソングに合わせ、微妙にリズムを取りながら動いている。