ソラシド
―やめやめっ

―美香子…

―カラオケ行こ。んで、ぱーっと騒ごうよ

―…ありがと



こんなジメジメした気持ちで部活なんてやってらんないわよ、
と笑って楽器を片付けている彼女は本当にすごいと思う。

…見習わないといけないな


新たな決意を胸に私は一歩を踏みしめた。




* * *


どこ行こう、あそこに行こうとうろうろしているうちに随分と時間が経ってしまった。


(ちょっとヤバイかな…)


今どき珍しく私の家には厳しい門限がある。

指定時間まであと10分。
駅から急いでも15分。


(覚悟するしかないかな…)



―ただいま

扉を開けてまず目に入ったのは腰に手を当て、こちらを睨み付けている母の姿。


沙夜さん、と私を呼ぶ声は固く冷たい。


―今何時か分かりますか

―7時15分です

―分かってますね

―…はい

―当分部活動も禁止です

―そんなっ

―沙夜さん

―…は、い


母の言葉は絶対である。


< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop